[ご利用に関するお願い]要約筆記(OHC、ノートテイク)
聴覚障害者のコミュニケーション手段は、その方によってさまざまです。手話で会話する人もいますし、主に文字でやり取りする人もいます。手話をコミュニケーション手段としない聴覚障害の方に対しては、音声を文字に変えて伝える方法が有効です。
要約筆記には、主にOHC(オーバーヘッドカメラ)を使う方法、ノートテイクによる方法、パソコンを使う方法があり、対象者(要約筆記を必要とする方=聴覚障害者)の人数や行事の内容によって、適した方法で行います。
要約筆記の特性 |
文字を書く速度(70文字/分位)は、話す速度(350文字/分位)の5分の1程度と言われています。そのため要約筆記者は、要約したり、略語・略号などを使って、出来るだけ話に遅れないよう工夫しています。 要約筆記者は、「話を聞く」→「理解する」→「聞こえたことばを要約する」→「書く」という負担の大きい作業を連続して行っています。そのため複数で交替しながら通訳を行う必要があります。 |
---|---|
要約筆記者の人数 |
要約筆記者の過度の疲労を避け通訳の質を保つために、複数の要約筆記者でチームを組み、交替しながら通訳を行います。要約筆記者の人数は、拘束時間や内容で異なりますので、事前にご相談ください。派遣人数の目安は以下の通りです。 OHCの場合・2時間未満…3人 ・2時間以上…4人 ノートテイクの場合・1時間以内…1人 ・1~3時間未満…2人 ・3時間以上…3人 ※終日の場合は、午前、午後で要約筆記者が交代することもあります。 |
要約筆記の方法
OHCによる通訳
話の内容を透明シートに油性ペンで書き、OHCによってスクリーンに投影して通訳を行います。
対象者が不特定多数の場合に有効です。

OHCによる通訳 配置例
OHCを使用する通訳に必要な備品
OHC(オーバーヘッドカメラ)透明シートに油性ペンで書いた文字を投影する機械です。要約筆記に適さない機種もありますので、ご相談ください。なお、液晶プロジェクタも必要となります。※横浜ラポール聴覚障害者情報提供施設で貸し出ししています(無料・要予約)。 |
スクリーン三脚つきで、傾斜をつけられるものが適しています。※横浜ラポール聴覚障害者情報提供施設で貸し出ししています(無料・要予約)。 |
ロールシート(ロール状の透明シート)2時間の講演の講演会、会議等 … 4本位※横浜ラポール聴覚障害者情報提供施設で販売しています(1本 540円)。 |
油性ペン(黒)マジックインキNo.500、ペンテルN50など。「中字」のもの。2時間の講演で10本程度。 |
OHC用トランスペアレンシー(A4サイズの透明シート)頻出語句(人名、団体名)を事前に書いておき、切り分けて使用します。2時間の講演等で5枚程度。文房具店で購入できます。 |
メモ用紙ロールシートに書いている人の横で重要語句をメモして聞き落としを補助するときに使用します。 2時間の講演等でA4を50枚程度。裏紙でも構いません。 |
紙袋(2つ)使用中のロールシートや書き終わったロールシートを入れておくために使用します。新聞の回収袋くらいの大きさが適当です。 |
延長コード、ビニールテープ、はさみビニールテープはOHCの電源コード等を床に留めるときなどに使用します。 |
机、椅子折りたたみの長机、折りたたみ椅子で結構です。 |
※ロールシートやトランスペアレンシー等の消耗品の購入については、ご相談ください。
ノートテイクによる通訳
要約筆記者は対象者の横に座り、話の内容を用紙に筆記して通訳を行います。
対象者が1人(多くて2人)の場合はこの方法で行います。
ノートテイクによる要約筆記 配置例
ノートテイクに必要な備品(※依頼者・主催者でご準備ください)
用紙A4サイズの紙。2時間の講演で100枚程度。裏紙でも構いません。 |
水性ペンペンテル サインペン、ゼブラ サラサ0.7㎜など。2時間の講演で、5~6本程度。※油性は下ににじんでしまうので適しません。 |
付箋10枚程度。頻出語句(人名、団体名)を事前に書いておき使用します。 |
机、椅子折りたたみの長机、折りたたみ椅子で結構です。 |
主催者の方へお願い
セッティングについて | 要約筆記者用の机、椅子を準備し、おおよその位置を決めてください。 スクリーンを聴覚障害の参加者から見やすい位置に設定してください。OHCは電源に接続しておいてください。スクリーンの調整は要約筆記者が行います。 |
---|---|
音響について | 音が聞こえないと通訳はできません。要約筆記者の机の位置で、音声が明瞭に聞き取れるかどうか確認してください。客席用のスピーカーでは聞き取りづらい場合は、要約筆記者用のスピーカーを設置する等、ご配慮ください。 |
資料について | 要約筆記の質を高めるために、事前準備(学習)は大変重要です。要約筆記内容に関する資料(行事の進行表、会議・研修のレジュメ等)をご準備いただき、事前に提供してください。 |
会議等の進行について | 会議の進行が早すぎたり、発言が重なったりすると要約筆記ができず、スクリーンやノートを見ている聴覚障害者の方が、取り残されてしまうようなこともあります。発言の際は一人ずつ、挙手して名前を言ってから話し始める等、進行にご配慮をお願いします。 |
筆記した文字情報の取り扱い |
要約筆記は、リアルタイムの情報保障手段であり記録を目的とした行為ではありません。議事録等の作成は主催者の責任で行ってください。書かれたものを、そのまま記録として使用することはしないでください。要約筆記者が書き終わった用紙は、速やかに処分をお願いします。 |
その他、何かご不明なことがありましたら、手話通訳者・要約筆記者派遣専用窓口(電話:045-475-2058)までお問い合わせください。